ダイヤモンドのカラーといえば、一般的には無色透明のイメージが強いかと思います。一言で無色透明といっても、実はその中には23段階ものグレードがあり、ダイヤモンドの価値を左右しているのです。今回はダイヤモンドの価値が決まる4C(カラット・カラー・カット・クラリティ)のうち、カラーについてご紹介いたします。
ダイヤモンドの評価基準である4Cのうち、カラーはダイヤモンドの無色透明度合いを評価したものです。ホワイトダイヤモンドは無色透明に近ければ近いほど光をスムーズに透過させ、希少価値が高まり良質のダイヤモンドと言えます。ダイヤモンドには完全な無色から薄いイエロー・ブラウンまで自然の色がついています。カラーグレードの違いは驚くほど微妙で、熟練した専門家が理想的な明かりの下でダイヤモンドをルース(裸石)の状態で見て、初めてその違いがわかるくらいです。1グレードの差では見た目のちがいはほとんど区別がつきませんが、鑑定士が見てカラー評価を決定しているので、色のちがいはかならずあります。実際には、2グレード差のあるダイヤモンドを真横にならべてなんとなく分かるときがある程度まで細かく分類されています。
カラーの差の多くは非常に微妙なため、訓練されていない人の目には見分けがつきませんが、ダイヤモンドの品質や価格には大きなちがいをもたらします。その色調はG.I.A.(米国宝石学会)規定のマスターストーンが基準となり、鑑定機関は基準が統一されたマスターストーンを使い一定の照明と厳密な観察条件の下で測定し、無色透明を最高のD、黄色味を帯びるにしたがってZに近づく23段階に評価されます。グレードにABCを使わず、D以上からはじまるのは、Dグレード以上のものの産出の可能性を残しているからだとも言われています。
【カラーグレード(GIA基準)】
無色:DEF
ほとんど無色:GHIJ
わずかな黄色:KLM
薄い黄色~黄色:N~Z
特に無色に近いグレードのものにはそれぞれ更に名称や評価が細分化されています。細かな分類を一部ご紹介いたします。
*D (colorless)
カラーレスと言われるこの等級の中でも、最上のダイヤモンドだけがこのカラーに格付けされます。Exceptional White+(エクセプショナル ホワイトプラス)と呼ばれ、類希な白の中でも最上級と評価される、ホワイトダイヤモンドの中でもっとも希少性の高いカラーグレードです。
*E (colorless)
カラーレスで次点に評価されたダイヤモンドがEカラーに格付けされます。熟練の鑑定士でも基準となる石との比較なしには殆ど無色にみえ、その違いを肉眼で確認する事は出来ません。Exceptional White(エクセプショナル ホワイト)と呼ばれ、類い希な白色と評価され、希少性の高いカラーグレードです。
*F (colorless)
カラーレスで最後に位置付けされる評価がFカラー。熟練の鑑定士が極々僅かな色を認められるだけで、一般的に肉眼で確認する事は出来ません。Rare White +(レア ホワイト プラス)と呼ばれ、希少な白色の中でも上質と評価され、希少性の高いカラーグレードです。
*G (near colorless)
ほぼ無色、ニアカラーレスと格付けされる中で最上ランクのGカラー。Rare White(レア ホワイト)と呼ばれ、希少な白と評価される。熟練の鑑定士でも注意深く比較をして初めて違いがわかる程度です。D~Fクラスと比べて、魅力的なお値打ちのカラーグレードです。
*H (near colorless)
ニアカラーレスで次点に評価されたものがHカラーに格付けされます。White(ホワイト)つまり、白と評価されます。上級クラスと並べても、比較しなければと判別できない微妙な違いで、リングに固定されてしまえば熟練の鑑定士でも見分けることは困難です。ダイヤモンドを見慣れた方でなければ、色味は感じられません。
*I (near colorless)
ニアカラーレスと評価される中の3番目の格付けがIカラー。Slightly tinted white(スライトリー ティンテッド ホワイト)と呼ばれ、(僅かに色づいた白と評価されます。大粒のものであれば肉眼でも僅かに色味を感じます。
婚約指輪や結婚指輪のダイヤモンドはできるだけ無色透明に近いものが理想とされます。一生の中でのひとつの節目でもあり、大きな意味をもつ結婚は、ウェディングドレスや白無垢の色をはじめ純粋、純白、無垢などの白にまつわる言葉が強い意味を持っています。最上位グレードであるD・E・Fカラーは純白無垢であることの意味合いを満たしてくれる高グレードなので、見た目にはほとんど差がつかなくても、気持ちの上では結婚にふさわしいワンランク上の大きな満足度を感じる事ができます。
ダイヤモンドのカラーがひとつひとつ異なる原因は、原石の原子配列のわずかなズレと、微少の不純物元素の含有によるものです。ダイヤモンドは炭素だけの結晶で出来ていますが、地球は窒素で覆われているため、炭素が結晶化するときに窒素を取り込んでしまい、それがダイヤモンドを黄色く見せているのです。そして、その程度によってカラーグレードが分類されます。完全に均一な原子配列と不純物元素を全く含まない状態に近づくほど、ダイヤモンドも完全な無色透明に近づきます。
またダイヤモンドの産出地により、良質な原石が産出される割合は異なりますが、構造が優れた原石を多数産出すると言われる産出地であっても、Dカラーの完全な無色透明の原石だけが産出されるわけではありません。
多くの方がダイヤモンドは無色だと思われていますが、実際ダイヤモンドは虹のすべての色が存在します。無色なほど高価であるとご説明しましたが、中にはZグレードを超えるほど強い黄色味を帯びたダイヤモンドがあり、これらはその希少価値と見た目の美しさから評価が高くなることがあります。そのようなダイヤモンドをファンシーカラーダイヤモンドと呼び、イエロー以外にもピンクやブルー、バイオレット、グリーン、ブラウン、ブラック、パープル、オレンジなどがあります。特にピンクやブルーは希少価値が高く、非常に高値で取引されています。
ファンシーカラーダイヤモンドはその色を濃く表現する為に、最もポピュラーなラウンドブリリアントカットではなく、それ以外のファンシーシェイプにカットされることが多いことも特徴といえます。
透明に近く色のない方が価値の高い宝石は、ダイヤモンドだけと言われています。そのきらめきや硬さと並び、無色透明というカラーもまた結婚というイメージにピッタリと合う宝石ではないでしょうか。オレッキオでは、カラーグレードの最高ランクである無色透明のD・E・Fカラーを主に揃えております。その透明な輝きを、ぜひ一度店頭でお手にとってご覧ください。